nukumori vol.9 ライブリポート〜KANの利休〜

  
後半最後のアーティスト、KANさん登場です!
KANさんは、2017年の上野東京国立博物館で開催されライブにつづいて2回目の出演です。
今回もステージ衣装のインパクトは大! 行者さん? お遍路? 芭蕉?……杖を持ち笠をかぶり、和服姿で現れました(この衣装の秘密は後で語られます!)。
おもむろにピアノの前に座り、ピアノ演奏が始まり……手拍子も自然とわきおこり……期待が高まります。と、思いきや客席を笑わせる’KANさん節’に会場が一気に引っ張られていきます。

1曲目は「よければ一緒に」。誰かと一緒に生きていくことが楽しくなるような、さりげないけれど愛にあふれた曲です。「この曲は皆さんと一緒に歌って完成する曲です。よかったら一緒に歌ってください」と語るKANさん。
初めて参加する方へのわかりやすいレクチャーとお約束があり、ようやくピアノが始まります。が、また止まります()
会場を楽しませることにぬかりがないKANさんのサービス精神はすごい!
優しいメロディに、シンプルな歌詞。なのにどうしてこんなに、一つ一つの音と言葉が心に響くのでしょう。後半は客席も一緒にハーモニーを奏でて会場は一体になりました。お客様のコーラスがよかったからでしょう!お約束のバージョンも無事披露されました。

2曲目は、言わずと知れた名曲「愛は勝つ」。テンションが上がるピアノのイントロとともに歓声が上がりました。客席も手拍子をしながら一緒にリズムに乗りました。何度聞いても前向きになれる圧倒的なパワーをもらえる名曲です。

そして佐藤竹善さんが再び登場。お互いのデビューの頃から知っているという長い付き合いのお二人です。
と、ここでついにKANさんが口を開く……!
KANくんとは何度も一緒にやってるから別に驚かないけどさ」と前置きした竹善さんは、KANさんの衣装に目線を落とし、「今回は何なの?()」とストレートに質問し、
KANさんの答えは、「千利休」でした!!!

KANさんによると、実はこの和服の衣装は、もともと8月に四国で行われた野外ロックフェス「MON STER baSH(モンスターバッシュ)」のために用意した衣装だそう。モンスターバッシュには、いくつかステージが用意されていますが、その中に「茶堂(ちゃどう)」という茶室のような木造のステージがあります。KANさんは今回、この茶堂でのステージでした。それに合わせて千利休の衣装を用意したけれど、あまりにもステージとなじみすぎてしまうため、着ることを断念。そのため今回のnukumoriはそこで着られなかった千利休の衣装を着て、登場したのでした。

さて、そんな千利休のKANさんと佐藤竹善さんが贈る3曲目は、KANさんの「カレーライス」。一緒に暮らす二人の些細なけんかのエピソードや、この先もずっと一緒に生きていく二人の未来を、カレーライスというモチーフを中心に歌い上げる名曲です。
KANさんと竹善さんの優しい歌声、それぞれの味わいがあって、今夜限りの特別なコラボセッションになりました。
当時、この曲のCDを買ったという竹善さん、本当にこの曲が好きで、「こんな曲が書けたらいいなぁ」と、語っていました。

続いて4曲目は、Sing Like Talkingの「Human」。この曲も、観客の皆さんと一緒に歌って楽しむ曲です。「ちゃんと歌ってくれないと、『よければ一緒に』からやり直すからね!」と竹善さん。「僕はいいけど♪」と言うKANさんとの掛け合いに、会場からも笑いが起こりました。竹善さんのリードで演奏が始まり、会場全員で手拍子しながら「Oh~~」と口ずさみました。「ぬくもりに気づかないって人生もつまらないなあ ほらひとりのはずはない」。優しさあふれるメロディーと歌詞に、聞き惚れてしまうひとときでした。

KANさん×竹善さんの最後の曲は、なんと豪華なあの名曲。
1985年アメリカで多数のアーティストが集結してUSA for Africaとして発表した「We Are The World」。
アフリカの飢餓救済のためのチャリティソングです。
KANさんと竹善さんの歌声に酔いしれるのはもちろん、本家のUSA for Africaと同じように、二人でそれぞれの歌手の歌声を再現。それぞれが本当に似ていて、カバーとしてもコピーとしても完成された、圧巻のライブでした。

実は、この曲が始まると楽屋も大盛り上がりでした!
さらに、石橋陽彩くんはステージ袖からずっと楽しんでいましたよ♫
33年にも渡りメッセージを続ける名曲に、改めて素晴らしい力を感じました。


〈セットリスト〉

①よければ一緒に(KAN

②愛は勝つ(KAN

③カレーライス(KAN

HumanSing Like Talking

We Are The World(マイケル・ジャクソン/ライオネル・リッチー)